占い師と牧師

先日ある男性から、面会してほしいとの電話があった。話を聞くと、離婚に関することだという。電話で話す内容ではないので、お越しいただくことにした。翌日、教会の執務室に訪ねてこられたので、じっくりお話を聞くことになった。
彼が言うには「妻と離婚したい。妻は病気で長いこと入退院を繰り返している。周りの者も親戚も皆、離婚した方がいいと言っている。本当にそれでいいのだろうか」。
わたしは彼の話を聞きながら、じっと顔色を伺っていた。苦しそうな表情で話す時が多いようだ。とくに奥さんのことになると、悪口も言わずただ「離婚した方がいいのかどうか教えてくれ」と言う。何かあると感じてもう少し深く問うと、「奥さんは30年近く躁鬱病を患い、世話が大変だから、離婚して病院に入れておいたほうがあなたのためだ」と、親戚全員が決めてきたそうである。

自分だけでは決断できないので、駅前に出ている占い師の方に占ってもらった。すると、この占い師には「離婚すべきにあらず」と言われた、と彼は話した。意見が二つに割れて、自分ではどうにも判断がつかない。もう一人、相談してから決めよう。ということで、わたしのところに来られたわけだ。

彼の話を聞きながら、実際には彼は離婚したくないのだなと感じたわたしは、彼の目をじっと見てこう言った。「離婚するのは止めなさい。あなたが後悔するだけだ。あなたは、どんなことをしても奥さんを看護したいと思っている。それを実行しなさい。」彼の顔がほっとしたように明るくなったのを、わたしははっきりと覚えている。

わたしは、キリスト教の牧師である。だからいろいろな方が相談に来られる。でも、占い師のところへ行ったあと、わたしのところへ来られた方は初めてだ。おそらく、離婚反対派が一人だけでは心細かったのだろう。キリスト教は離婚には反対だそうだ（カトリックはそうです）と聞いて、味方をもう一人つけたかったので、わたしを訪ねてきた。たぶんそういうところかと思うが、わたしがもし「離婚しなさい」と言っていたら、彼はまだ放浪の旅を続けているのだろうか。

☆電話占いフリーダム
霊感でみるので生年月日はいりません。
06-6722-1313